2022/06/20 政治家対談Part. 1 池川友一さん(前半)
- 高校生支部 Voice Up Japan
- May 28, 2023
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こんにちは。アクセスありがとうございます!
Voice Up Japan高校生支部って?
私たちは、Voice Up Japan高校生支部(以下: VUJ高校生支部)です。
2021年の5月に結成して以来、2022年の1月に校則・制服についての意見書を文部科学省に提出するなど、「誰もが自分らしく生きられる社会」をモットーに活動を進めています。
今回は、私たちの生活に密接に関わっている政治家の方々にインタビューしよう!というプロジェクトの第一弾として、日本共産党都議会議員団の池川友一さんにインタビューしました。

池川友一さんってどんな方?
最初に、池川友一さんの簡単なプロフィールを書いていきます。
池川友一さんは、2010年に東京町田市の市議会議員選挙にて当時25歳と8日で初当選。25歳から被選挙権を持つ日本の中で、当時最年少の当選です。。
もともと学生の頃から学費の値下げに関する運動などを盛んに行っており、イラク戦争と日本が関わっていく過程を見て、今の政治により強い関心をもち日本共産党に入ったそうです。そして町田市議会議員への立候補に至り、市民の投票によって議員になったことが出発点だとおっしゃっていました。
2010年に市議会議員に当選して以降7年間市議会議員を務め、2017年に東京都議会議員に初当選。現在2期目を務めていらっしゃいます。
都議会議員としては、校則に関する質問を多く行い、特に髪型のツーブロックに関する議論は話題となりました。ツーブロック禁止の校則の撤廃を求めた働きにより、2021年には東京都立高校でツーブロック禁止や下着の色規制などの校則が全廃されました。
このインタビューでは校則に関する質問を中心に池川さんと1時間近くお話ししました。きました。
1 今の校則の一番の問題点は何?
まずは、私たちVUJ高校生支部が何回も話し合った、現在の校則の問題点について。
池川さんはすぐに、「生徒が決定に関われないというのが一番大きい」と言いました。また、同じくらい大きい課題として、「どうやって(校則を)変えるかというプロセスが何もわからない」ことも挙がりました。
「新たな校則を決めることも、校則をなくすことも、どうやってそれを行うのかの過程が示されていないことはおかしい。」
子供の意見を全て受け入れろと言っているわけではなく、意見をいう機会がどれだけあるのかということと、校則を変えるプロセスを明らかにできていないということ。
この二つが校則の現状に対する大きな課題なのではないかと言いました。
2-1 校則改正に対してよく言われる反対意見に関してはどう思う?
次に聞いたのは、校則改正に対してよく言われる反対意見に関してはどう思うかと言う疑問。
校則改正に関して動いている時、色々な意見を耳にします。その中にはもちろん否定的な意見もあり、よく見かけるのが「校則が社会に出るための礎になる」「生徒をまとめる必要がある」などの意見。
そういった意見に対して池川さんが思われていることを聞いてみました。
答えは、こういった言葉から始まりました。
「理不尽なルールがあったときに、『仕方ないね。そういうもんだから』としてしまう社会に、本当にそれでいいのかと思っています。」
池川さん自身は公立の中学校に通っていましたが、制服はありませんでした。
中学校で制服がなく、高校にも「ルールらしいルールみたいなものはあまりなくて」という、珍しい環境。
池川さん自身の原体験はほとんど校則に縛られてこなかったものでしたが、他の人と話すうちに自身の体験と全く違う現状を認識していきます。そして、それぞれの原体験が及ぼす影響にも考えを巡らせました。
「今みたいな議論が出てくるのって、自分たちもこうだったんだからこうするのは当たり前でしょうって。自分たちの頃はこうだったんだから、当然子供も守るのが当たり前でしょうって。世代とか原体験にすごい議論が引っ張られていくものなんだなって。」
生徒、保護者に限らず、教員にも原体験(前任校ではこうだった〜など)がもちろんあります。よって、校則の議論にそういった各自の経験や考えがどんどん入り込んでいきます。ですが、そういった原体験はなくすことも消すこともできません。
ですから、各々の原体験をベースにしながら、校則に関する議論をきちんと俎上に載せることが必要だとおっしゃっていました。
2-2 自分が校則をあまり経験していないことで感じた周りとの違いはあった?
ここで私が気になったことは、校則改正に対する意見の中に「校則を守ることが社会人になってから役に立つ」というものが多いこと。
池川さんはほとんど校則による縛りを経験されてきませんでした。社会人となった後、校則がなかった経験をどう思っているのか、伺ってみました。
「制服があって羨ましいなと思ったのは、冠婚葬祭くらいで」
学生時代、制服はオールマイティに使え、冠婚葬祭の時などは羨ましく思っていたそうです。ですが、制服がなければ社会生活を送れないかというと、そんなことはないといいます。
例えば、都立高校でも多い化粧禁止の校則。社会に出れば「化粧はしっかりするものだ」と言われます。
「子供の時はそんなの必要ない」の言葉だけで片付けられてしまうこの現状。
「(中学・高校・大学が)社会に出るための準備期間であることは間違いないし、子供から大人への移行期であると思うんですね。その移行期に、どういう体験ができるのか、どういうことを学ぶことができるのかを考えることがすごく大事だと思う。」
池川さんも、都議会にTシャツ・ジーパンでいくわけではありません。TPOを弁えることは、制服がなければできないことではなく、逆に制服がないほうが考える機会の多いことでもあります。
制服だと、あらかじめ正しい着用例が示されています。私服だと、個人がそれぞれ何がいいのかを考える機会が用意されていることになります。それぞれが考える機会が用意されていることが、一番大事なことだと思うとおっしゃっていました。
2-3 学校によって校則の厳しさが分かれていくことについて、どう思う?
私服校・制服校の話が出たところで、前々から気になっていたことも聞かせていただきました。それは、いわゆる「偏差値の高い学校」では校則がゆるいなど、学校によって校則の厳しさが別れていく現状について。
池川さんも、その現状は確かにあると答えてくださいました。
「地域の公立中学なら、受験もしないから学力による違いはないですよね。でも、高校に進むと、学力によって生徒指導を含めた制服・校則の厳しさに違いは実際あると思います。」
「ただそれって、本当に必要なのかと直していくことが一つの教育的な手法として使われていたからだと思うんですよね。本当にその方法しかないのか、というところを真面目に考えなければいけない。」
子どもの権利条約第28条の2項には、以下のような文言があります。
“締約国は、学校規律が児童の人間の尊厳に適合する方法で及びこの条約に従って運用されることを確保するためのすべての適当な措置をとる。”
学校の懲戒などを決めるときに、そのルールに合理性があるか・そのルールは絶対に必要なのかの2点を検討することが求められている文章です。
特に「子供の権利を侵害していることを鑑みた上で、そのルールは絶対に必要なものなのか。なくてはならないものなのか。」と問いかける視点は日本の学校に必要なものだと池川さんはおっしゃいました。
「子供の権利に介入しているわけだから、それが最低限必要なことなのかということを考えなければいけないんです。」
3 若者に政治をもっと身近なものだと認識してもらうには何ができるか
次の質問は、若者の政治参加に関する質問です。政治は身近なものだと認識してもらうために、私たち(VUJ高校生支部)や、自治体それぞれができることは何なのか、聞いていきました。
池川さんは、「身近な問題」という言葉を強調しながら答えてくださいました。
「身近な問題が政治に関わると思うことがすごく大事なんじゃないかなと思っていて。」
例えば、池川さんがツーブロックがなぜダメなのかと議会で質問した件について。
「多分ツーブロックなぜダメなのかって質問するって、誰も思っていなかったと思うんですよね。」
そもそも議会の中にも、ツーブロックが何なのかがはっきりわかっていない人もある程度はいたはずです。だけれども、そう言った身近な、「何でもないようなことが政治の課題になるんだとわかってもらうことが一番大切」とおっしゃっていました。
そして、池川さんが都議会で行っている痴漢ゼロ運動についても、以下のようなことをおっしゃっていました。
「痴漢の実態を調査したら実態はものすごく深刻で。学校に行けなくなったりその後の人生に大きな打撃が出たり。これを軽視している社会や政治を変えなきゃいけない。そのためには何が必要かというと、政治の課題にしなきゃいけないんですよね。」
実際に共産党の議員として質問したそうですが、最初はなんと痴漢の対策に関する質問を受け付ける部署が東京都にはなかったのだとか。つまり、東京都は答弁ができない状態からスタートしました。
ですが、この痴漢の問題を政治の課題にするということを公約に掲げ、色々な団体や学生も声を上げたことで、2022年の4月から男女平等参画総合推進計画のなかで痴漢ゼロのための対策がくみこまれました。また、女性版の骨太方針のなかに「痴漢被害ゼロ」という目標が入ったように国でも取り上げられるようになり、今年度中には痴漢撲滅のパッケージを政府として作るようにもなっています。
最初は答える部署もなかったのに、部署が割り当てられるどころか総合推進計画の中にも入ったこと。この理由を、池川さんはそれくらい痴漢問題が深刻で切実なものだったからだと考えています。
街頭演説などで痴漢に関することを話していると、実は一番耳を傾けるのは高校生だそうです。そういった身近な問題がそれでも政治につながっていないと思ってしまうことは、「政治家の方に問題があるのでは」とおっしゃっていました。
身近な問題が政治の課題になることはそこまでハードルの高いことでもなく、子供の頃から感じ取っていくことが一番重要。同時に、新しい問題が出てきたときにその課題を社会全体の課題に押し上げていくことが大事なことだとおっしゃいました。
終わりに
以上、3つの質問で、前半の記事は終了となります。
初めて政治家の方とお話しするメンバーも多く、とても貴重な時間を過ごすことができました。
私たち高校生支部は、校則の問題に関して高校生なりになんらかの道を見つけようと考え、意見書を中心とした活動をしてきました。ですが、正直それで実際に変わったことがあるのかと問われると、未だに壁は厚いと、答えざるを得ません。
文部科学省に意見書を提出しただけで、特定の学校や団体と何かを行ったわけでもありません。しかし、校則問題について少しでも知ってもらえるような機会を増やせたならば、高校生として大きな一歩を踏み出せたと思っています。
しかし、池川さんは、実際に都議会議員として活動されており、この校則問題に限らず痴漢問題やパートナーシップ、給食費などさまざまな問題に対して実際になんらかの成果をあげています。理想を現実にするのが政治家の仕事なのだと思います。これが、選挙で良い政治家を選ぶべき理由だと思っています。
高校生支部メンバーのみで話していると、同じような視点での会話となってしまうことがありますが、こうして実際になんらかの活動をしている方、そして違う目線を持っている方とお話しすると、私たちももっと勉強しなければいけないと感じましたし、より多くの方に意見を聞いてみたいと感じました。一口に政治家といっても、もちろんさまざまな主張の方がいます。ぜひ色々な意見を色々な目線から聞きに行ってみたいです。
高校生支部として身近な問題を些細なことでもたくさん取り上げること、小さいことでも知ってもらうこと。色々な人に政治の課題になりうるさまざまな問題について知ってもらうことで、「改善する必要がある」という気持ちになってもらえれば、という話にもなりました。
それぞれの原体験をどのように生かして議論に持っていくのか、
子どもの権利条約を含めたさまざまな権利を今一度見つめ直すにはどうすればいいのか、
システム自体を変える手段は何があるのか、
考えること、考えたいこと、調べなければいけないことはさまざまです。
少しずつ、視野を広く保ちながら、進んでいきたいと思っています。
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